電気回路について勉強していると、「電圧源」と「電流源」という言葉を目にすることがあります。負荷が変わったとき、電圧と電流のどちらを一定に保つ電源なのかが、両者を理解するポイントです。
この記事では、以下の内容を図と式を用いてわかりやすく説明します。
- 電圧源と電流源の違い
- 電圧源と電流源が等価になる条件
- 電圧源と電流源の変換方法と計算例
電圧源と電流源の『違い』
内部抵抗を含む電圧源と電流源のモデルを、下図で比較します。

電圧源は、負荷に電圧を供給する電源です。基本的な等価回路として「理想電圧源\(V\)(一定の電圧を出力する電源)」と「内部抵抗\(r_v\)」を直列接続した回路で表すことができます。
電流源は、負荷に電流を供給する電源です。基本的な等価回路として「理想電流源\(I\)(一定の電流を出力する電源)」と「内部抵抗\(r_i\)」を並列接続した回路で表すことができます。
これら電圧源と電流源は条件を満たすと等価変換できます。ではこれから変換方法について説明します。
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電圧源と電流源の『変換方法』
電圧源と電流源を変換するためには、まず電圧源と電流源が等価になる条件を求める必要があります。
電圧源と電流源が等価になる条件
それぞれのモデルに同じ負荷抵抗を接続した回路と、等価になる条件を下図に示します。


電圧源と電流源が等価とは、同じ負荷抵抗\(R\)を接続したときに、変換前後で負荷抵抗\(R\)に流れる電流\(I_R\)が一致することです。負荷抵抗\(R\)に流れる電流\(I_R\)が一致するということは、負荷抵抗\(R\)にかかる電圧\(V_R\)も一致するということになります。
電圧源に負荷抵抗\(R\)を接続した時に流れる電流\(I_R\)は次式となります。
電圧源側では、内部抵抗\(r_v\)と負荷抵抗\(R\)が直列なので、電圧\(V\)を抵抗の合計で割ると電流が求められます。
\begin{eqnarray}
I_R=\frac{V}{r_v+R}\tag{1}
\end{eqnarray}
電流源に負荷抵抗\(R\)を接続した時に流れる電流\(I_R\)は次式となります。
電流源側では、理想電流源の電流\(I\)が内部抵抗\(r_i\)と負荷抵抗\(R\)に分かれます。(2)式は、この分流によって負荷へ流れる電流を表します。
\begin{eqnarray}
I_R=\frac{r_i}{r_i+R}I\tag{2}
\end{eqnarray}
ここで、\(V\)は理想電圧源の電圧\({\mathrm{[V]}}\)、\(I\)は理想電流源の電流\({\mathrm{[A]}}\)、\(r_v\)と\(r_i\)はそれぞれの内部抵抗\({\mathrm{[Ω]}}\)、\(R\)は負荷抵抗\({\mathrm{[Ω]}}\)、\(I_R\)は負荷電流\({\mathrm{[A]}}\)です。電圧源と電流源が等価になる条件は(1)式と(2)式が等しくなる時であり、その条件は次のとおりです。
電圧源と電流源が等価になる条件
\begin{eqnarray}
V&=&r_iI\tag{3}\\
r_v&=&r_i\tag{4}
\end{eqnarray}
(3)式は電圧と電流の関係、(4)式は変換前後で内部抵抗の値を変えないことを表します。(3)式と(4)式の条件を用いれば、「電圧源」と「電流源」を等価変換することができるので、実際に変換してみましょう。
『電圧源』を『電流源』に変換する方法
電圧源から電流源への変換を下図に示します。抵抗の接続は直列から並列へ変わります。


「理想電圧源\(V\)(一定の電圧を出力する電源)」と「内部抵抗\(r_v\)」を直列接続している電圧源を電流源に変換します。
繰り返しになりますが、「電圧源と電流源が等価になる条件」は下記となります。
電圧源と電流源が等価になる条件
\begin{eqnarray}
V&=&r_iI\tag{3}\\
r_v&=&r_i\tag{4}
\end{eqnarray}
上記の条件より、「電圧源」を「電流源」に変換した後の理想電流源\(I\)と内部抵抗\(r_i\)の式は次式となります。
\begin{eqnarray}
I&=&\frac{V}{r_v}\tag{5}\\
\\
r_i&=&r_v\tag{6}
\end{eqnarray}
このように「電圧源と電流源が等価になる条件」を用いると、「電圧源」を「電流源」に変換することができます。
例えば、理想電圧源\(V\)の電圧が「\(V=5{\mathrm{[V]}}\)」、電圧源の内部抵抗\(r_v\)が「\(r_v=0.5{\mathrm{[Ω]}}\)」の場合、「電圧源」を「電流源」に変換した後の理想電流源\(I\)と内部抵抗\(r_i\)は以下の値になります。
\begin{eqnarray}
I&=&\frac{V}{r_v}=\frac{5}{0.5}=10{\mathrm{[A]}}\tag{7}\\
\\
r_i&=&r_v=0.5{\mathrm{[Ω]}}\tag{8}
\end{eqnarray}
『電流源』を『電圧源』に変換する方法
電流源から電圧源への変換を下図に示します。抵抗の接続は並列から直列へ変わります。


「理想電流源\(I\)(一定の電流を出力する電源)」と「内部抵抗\(r_i\)」を並列接続している電流源を電圧源に変換します。
繰り返しになりますが、「電圧源と電流源が等価になる条件」は下記となります。
電圧源と電流源が等価になる条件
\begin{eqnarray}
V&=&r_iI\tag{3}\\
r_v&=&r_i\tag{4}
\end{eqnarray}
(3)式と(4)式が「電流源」を「電圧源」に変換した後の理想電圧源\(V\)と内部抵抗\(r_v\)の式となります。
このように「電圧源と電流源が等価になる条件」を用いると、『電流源』を『電圧源』に変換することができます。
例えば、理想電流源\(I\)の電流が「\(I=5{\mathrm{[A]}}\)」、電流源の内部抵抗\(r_i\)が「\(r_i=0.5{\mathrm{[Ω]}}\)」の場合、『電流源』を『電圧源』に変換した後の理想電圧源\(V\)と内部抵抗\(r_v\)は以下の値になります。
\begin{eqnarray}
V&=&r_iI=0.5×5=2.5{\mathrm{[V]}}\tag{9}\\
\\
r_v&=&r_i=0.5{\mathrm{[Ω]}}\tag{10}
\end{eqnarray}
補足
電源の向きも合わせて変換します。本記事の図では、電圧源のプラス端子側へ電流を送り出す向きに、理想電流源の矢印を向けています。逆向きにすると、等価な電源にはなりません。
電圧源と電流源の『例題』
例題
内部抵抗を含む二つの電圧源を並列接続した、下図の回路を考えます。


上図に示すような「電圧源\(V_1=5{\mathrm{[V]}}(r_{v1}=0.2{\mathrm{[Ω]}})\)」と「電圧源\(V_2=6{\mathrm{[V]}}(r_{v2}=0.25{\mathrm{[Ω]}})\)」を並列接続し、負荷抵抗\(R=1{\mathrm{[Ω]}}\)を接続した回路があります。
この回路において、
- 電圧源\(V_1\)から負荷側へ流れる電流\(I_{R1}\)
- 電圧源\(V_2\)から負荷側へ流れる電流\(I_{R2}\)
- 負荷抵抗\(R\)に流れる電流\(I_R\)
を求めてみましょう。
図では、\(I_{R1}\)と\(I_{R2}\)は電圧源から上側の接続点へ向かう方向、\(I_R\)は負荷抵抗を上から下へ流れる方向を正とします。下記のステップで各電流を求めます。
各電流を求める方法
- 電圧源を電流源に変換する
- 各抵抗に流れる電流を求める
- キルヒホッフの法則で各電流を求める
電圧源を電流源に変換する
例題の二つの電圧源を、それぞれ電流源へ変換した回路を下図に示します。


(5)式を各電圧源に適用すると、変換後の理想電流源\(I_1\)および\(I_2\)の電流は以下の値となります。
\begin{eqnarray}
I_1&=&\frac{V_1}{r_{v1}}=\frac{5}{0.2}=25{\mathrm{[A]}}\tag{11}\\
\\
I_2&=&\frac{V_2}{r_{v2}}=\frac{6}{0.25}=24{\mathrm{[A]}}\tag{12}
\end{eqnarray}
2つの理想電流源は同じ向きに電流を送り出すため、理想電流源\(I_1\)と\(I_2\)の合成電流\(I\)は、それぞれの電流を足して求めます。
\begin{eqnarray}
I&=&I_1+I_2=25+24=49{\mathrm{[A]}}\tag{13}
\end{eqnarray}
電流源の内部抵抗\(r_{i1}\)および\(r_{i2}\)は以下の値となります。
\begin{eqnarray}
r_{i1}&=&r_{v1}=0.2{\mathrm{[Ω]}}\tag{14}\\
\\
r_{i2}&=&r_{v2}=0.25{\mathrm{[Ω]}}\tag{15}
\end{eqnarray}
各抵抗に流れる電流を求める


並列接続された各抵抗には同じ電圧がかかるため、抵抗が小さいほど大きな電流が流れます。この流れやすさを表す量がコンダクタンス(抵抗の逆数)で、単位は\({\mathrm{[S]}}\)(ジーメンス)です。抵抗が並列接続されている場合、電流は各抵抗のコンダクタンスの割合に応じて分流するため、各抵抗に流れる電流は以下の値となります。
\begin{eqnarray}
I_{r1}&=&\frac{\displaystyle\frac{1}{r_{i1}}}{\displaystyle\frac{1}{r_{i1}}+\displaystyle\frac{1}{r_{i2}}+\displaystyle\frac{1}{R}}×I\\
\\
&=&\frac{\displaystyle\frac{1}{0.2}}{\displaystyle\frac{1}{0.2}+\displaystyle\frac{1}{0.25}+\displaystyle\frac{1}{1}}×49\\
\\
&=&\frac{5}{5+4+1}×49\\
\\
&=&24.5{\mathrm{[A]}}\tag{16}\\
\\
I_{r2}&=&\frac{\displaystyle\frac{1}{r_{i2}}}{\displaystyle\frac{1}{r_{i1}}+\displaystyle\frac{1}{r_{i2}}+\displaystyle\frac{1}{R}}×I\\
\\
&=&\frac{\displaystyle\frac{1}{0.25}}{\displaystyle\frac{1}{0.2}+\displaystyle\frac{1}{0.25}+\displaystyle\frac{1}{1}}×49\\
\\
&=&\frac{4}{5+4+1}×49\\
\\
&=&19.6{\mathrm{[A]}}\tag{17}\\
\\
I_{R}&=&\frac{\displaystyle\frac{1}{R}}{\displaystyle\frac{1}{r_{i1}}+\displaystyle\frac{1}{r_{i2}}+\displaystyle\frac{1}{R}}×I\\
\\
&=&\frac{\displaystyle\frac{1}{1}}{\displaystyle\frac{1}{0.2}+\displaystyle\frac{1}{0.25}+\displaystyle\frac{1}{1}}×49\\
\\
&=&\frac{1}{5+4+1}×49\\
\\
&=&4.9{\mathrm{[A]}}\tag{18}
\end{eqnarray}
キルヒホッフの法則で各電流を求める
各電源から負荷側へ流れる電流と、内部抵抗へ分かれる電流の関係を下図で確認します。


キルヒホッフの電流則は、接続点に流れ込む電流の合計と、流れ出る電流の合計が等しいことを表します。各電流源が送り出す電流から、並列の内部抵抗へ流れる電流を引くと、元の電圧源から負荷側へ流れる電流\(I_{R1}\)および\(I_{R2}\)が求められます。
\begin{eqnarray}
I_{R1}&=I_1-I_{r1}=25-24.5=0.5{\mathrm{[A]}}\tag{19}\\
\\
I_{R2}&=I_2-I_{r2}=24-19.6=4.4{\mathrm{[A]}}\tag{20}
\end{eqnarray}
したがって、電圧源\(V_1\)に流れる電流\(I_{R1}\)、電圧源\(V_2\)に流れる電流\(I_{R2}\)、負荷抵抗\(R\)に流れる電流\(I_R\)は下図のようになります。


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「キルヒホッフの電流則(キルヒホッフの第1法則)」については、以下の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。 続きを見る


キルヒホッフの法則(第1法則・第2法則)とは?
本記事のまとめ
この記事では「電圧源」と「電流源」について、以下の内容を説明しました。
- 理想電圧源は電圧を、理想電流源は電流を、負荷によらず一定に保つ
- 内部抵抗を含むモデルでは、電圧源は内部抵抗を直列に、電流源は内部抵抗を並列に接続して表す
- 電圧源と電流源は、\(V=r_iI\)、\(r_v=r_i\)を満たすと等価変換できる
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