この記事では『フィルタ特性』について
- フィルタ特性の種類
- バタワース特性とは
- ベッセル特性とは
- チェビシェフ特性とは
- エリプティック特性とは
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
バタワース・ベッセル・チェビシェフ・エリプティック特性の違い
アクティブフィルタには様々なフィルタ特性があり、代表的なものにバタワース特性、ベッセル特性、チェビシェフ特性、エリプティック特性があります。
上図に各フィルタ特性の周波数特性(イメージ図)を示しています。後ほど詳しく説明しますが、各フィルタ特性の特徴をまとめると下記のようになります。
フィルタ特性 | メリット | デメリット |
バタワース特性 | 通過域が最も平坦 | 減衰の傾きが緩やか |
ベッセル特性 | 群遅延特性(dθ/dω:位相を角周波数で微分したもの)が平坦であり、過渡応答性が良い | 減衰の傾きが最も緩やか |
チェビシェフ特性 | 減衰の傾きが急峻 | 通過域にリプルがある |
エリプティック特性 | チェビシェフ特性よりも減衰の傾きが急峻 | 通過域と阻止域の両方にリプルがある |
このように各フィルタ特性によって、減衰の傾き、通過域・阻止域のリプル、群遅延特性、過渡応答性に違いがあります。
では、次に各フィルタ特性について順番に説明します。
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オペアンプやトランジスタなどの能動素子に抵抗やコンデンサを組み合わせて構成されたフィルタのことを『アクティブフィルタ』といいます。
一方、抵抗・コイル・コンデンサなどの受動素子のみで構成されたフィルタのことを『パッシブフィルタ』といいます。
『アクティブフィルタ』と『パッシブフィルタ』の特徴については下記の記事でまとめていますので、ご参考になると幸いです。
『パッシブフィルタ』と『アクティブフィルタ』の違いについて!
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バタワース特性
バタワース特性は、最大平坦特性とも呼ばれており、通過域の周波数特性が最も平坦でリプルがないのが特徴です。
また、減衰の傾きはフィルタの次数をN次とすると、-20N[dB/dec](=-6N[dB/oct])になるため、減衰量をコントロールしやすいフィルタです。
バタワース特性はフィルタの中では、最も一般的な特性です。設計も容易のため、利用頻度が高いフィルタ特性となります。しかし、過渡応答性はベッセル特性より劣っており、パルス波形が入力された場合、リンギングやオーバーシュートが発生します。
補足
- バタワースは英語では『Butterworth』と書きます。
- バタワース特性は『バターワース特性』と『タ』と『ワ』の間に伸ばし棒がある場合もあります。
- 周波数fが2倍になることをoct(オクターブ)、10倍になることをdec(ディケード)といいます。例えば、-20[dB/dec]は周波数が10倍になると、-20dB減衰することを意味しています。
ベッセル特性
ベッセル特性はバタワース特性よりも減衰の傾きは緩やかですが、通過域では周波数に対して位相が直線的に変化するフィルタです。
過渡応答(立ち上がり/立ち下がり)特性を最適化しているフィルタであり、リンギングやオーバーシュートが最小で立ち上がり時間が最も短いため、パルス波形を通しても、波形歪みが生じにくくなっています。
なお、立ち上がり時間が短いということは、高周波成分の減衰量が小さいことと同義です。そのため、減衰量は他のフィルタと比較すると劣ります。
これらの特性から、ベッセル特性は過渡応答波形をきれいにしたい場合に使用されます。
補足
- 周波数に対して位相が直線的に変化するということは、群遅延特性(dθ/dω:位相を角周波数で微分したもの)が平坦になっていることを意味します。
- ベッセルは英語では『Bessel』と書きます。
チェビシェフ特性
チェビシェフ特性は通過域にリプルを持たせることで、通過域から阻止域へ遷移する際の減衰の傾きを急峻にしたフィルタです。そのため、通過域でのリプルを許容できる場合に利用するフィルタです。
しかし、過渡応答性はベッセル特性より劣っており、パルス波形が入力された場合、リンギングやオーバーシュートが発生します。
補足
- リプル量を多くするほど、減衰の傾きが急峻になりますが、トレードオフとして、波形が歪みやすくなります。
- チェビシェフ特性では通過域にリプルを持たせていますが、逆に阻止域にリプルを持たせたものを『逆チェビシェフ特性』といいます。逆チェビシェフ特性はその他のフィルタ特性と比較すると、あまり使われることがないフィルタ特性です。
- チェビシェフは英語では『Chebyshev』と書きます。
エリプティック特性・連立チェビシェフ特性
楕円(エリプティック)特性は、通過域と阻止域の両方にリプルを持たせることで、チェビシェフ特性よりも通過域から阻止域に遷移する際の減衰の傾きを急峻にしたフィルタです。そのため、通過域と阻止域両方でのリプルを許容できる場合に利用するフィルタです。
楕円(エリプティック)特性は『連立チェビシェフ特性』とも呼ばれています。
減衰の傾きが急峻なので、必要な信号と不要な信号の周波数が近い時に有効なフィルタとなります。
補足
- エリプティックは英語では『Elliptic』と書きます。
まとめ
この記事では『フィルタ特性』について、以下の内容を説明しました。
- フィルタ特性の種類
- バタワース特性とは
- ベッセル特性とは
- チェビシェフ特性とは
- エリプティック特性とは
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