この記事では可変容量ダイオード(バリキャップ)について
- 可変容量ダイオード(バリキャップ)の『記号』と『特徴』
- 可変容量ダイオード(バリキャップ)の『原理』
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
可変容量ダイオード(バリキャップ)の『記号』と『特徴』
可変容量ダイオード(Variable Capacitor Diode)は、その名の通り静電容量(接合容量)が変化するダイオードです。バリキャップ、バラクタ(Varactor)、バラクタダイオードとも呼ばれています。
可変容量ダイオードの『静電容量C-逆方向電圧VR特性』を上図に示しています。可変容量ダイオードに印加する逆方向電圧(カソードにプラス、アノードにマイナス)VRが大きいほど、空乏層の幅が広くなるため、静電容量Cが小さくなります。
また、回路記号は「ダイオードの記号」と「コンデンサの記号」が合体したような記号となります。
補足
- バラクタ(Varactor)とは「Variable Reactor」の略語であり、可変リアクタンスを意味しています。リアクタンスには『コイル(インダクタ)のリアクタンス(誘導性リアクタンス)』と『コンデンサのリアクタンス(容量性リアクタンス)』がありますが、この可変容量ダイオードは容量性リアクタンスを制御している素子となります。
- 可変容量ダイオードを共振回路のコンデンサとして用いることによって、共振周波数が印加電圧でコントロールすることができます。そのため、TM/AM/FMラジオなどのチューナー同調回路、PLL回路、電圧制御発振器(VCO:Voltage Control Oscillator)などに用いられています。
可変容量ダイオード(バリキャップ)の『原理』
PN接合ダイオードのPN接合部には、空乏層と呼ばれるキャリア(電子や正孔)がほとんどない領域があります。この空乏層は絶縁体と同じ働きをします。
そのため、『P型半導体(正孔が多く存在)とN型半導体(電子が多く存在)のキャリアが多く存在する領域』が『空乏層という絶縁体』を挟む構造となっています。この構造はコンデンサの構造と似ています。
そのため、PN接合ダイオードのアノード(A)-カソード(K)間には次式の静電容量(接合容量)Cが寄生しています。
\begin{eqnarray}
C={\varepsilon}\frac{S}{d}
\end{eqnarray}
上式において、εは誘電率[F/m]、Sは空乏層の面積[m2]、dは空乏層の幅[m]となります。
この空乏層の幅dは逆方向電圧VRの大きさによって変化します。逆方向電圧VRを大きくすると、空乏層の幅dが広がるため、上式より静電容量Cが小さくなります。一方、逆方向電圧を小さくすると、空乏層の幅dが狭くなるため、上式より静電容量Cが大きくなります。
可変容量ダイオードはこの「逆方向電圧VRの大きさによる空乏層の幅dの変化(静電容量の変化)」を積極的に利用したダイオードとなります。
まとめ
この記事では可変容量ダイオード(バリキャップ)ついて、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- 可変容量ダイオード(バリキャップ)の『記号』と『特徴』
- 可変容量ダイオード(バリキャップ)の『原理』
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