【昇圧コンバータの設計】入力コンデンサのESRによるリプルの導出

この記事では『昇圧コンバータ』において

昇圧コンバータの『入力コンデンサのESRによるリプル電圧』の導出方法

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

入力コンデンサのESRによるリプルについて

入力コンデンサ\(C_{IN}\)に流れる電流\(i_{CIN}\)により、入力電圧\(V_{IN}\)にリプルが生じます。

この入力電圧\(V_{IN}\)のリプルには、入力コンデンサ\(C_{IN}\)の充放電によって生じるリプル\(dv_{IN}\)以外にも入力コンデンサ\(C_{IN}\)の等価直列抵抗(ESR)によって生じるリプル\(dv_{IN(ESR)}\)があります。

実際のリプルは\(dv_{IN}\)と\(dv_{IN(ESR)}\)が合わさったものとなっています。

ではこれから、入力コンデンサ\(C_{IN}\)のESRによって生じるリプル\(dv_{IN(ESR)}\)の大きさと計算方法について説明します。

入力コンデンサ\(C_{IN}\)に流れる電流\(i_{CIN}\)は回路図より、インダクタ\(L\)に流れる電流\(i_{L}\)と入力電流\(I_{IN}\)の差分になっています。そのため、入力コンデンサ\(C_{IN}\)に流れる電流\(i_{CIN}\)のリプル\(di_{CIN}\)とインダクタ\(L\)に流れる電流\(i_{L}\)のリプル\(di_{L}\)と等しくなります。

そのため、入力コンデンサ\(C_{IN}\)のESRによって生じるリプル\(dv_{IN(ESR)}\)は

\begin{eqnarray}
dv_{IN(ESR)}= ESR×di_{L} \tag{1}
\end{eqnarray}

となります。

インダクタ\(L\)に流れる電流\(i_{L}\)のリプル\(di_{L}\)は入力電流\(I_{IN}\)とリプル率\(k\)を用いると以下の式となります。
\begin{eqnarray}
di_{L}=kI_{IN}\tag{2}
\end{eqnarray}

そのため、(1)式は以下の式となります。

\begin{eqnarray}
dv_{IN(ESR)}= ESR×kI_{IN}\tag{3}
\end{eqnarray}

さらに、入力電流\(I_{IN}\)は出力電流\(I_{OUT}\)とオンデューティ\(D\)を用いると以下の式となります。
\begin{eqnarray}
I_{IN}= \frac{ I_{OUT}}{1-D}\tag{4}
\end{eqnarray}

そのため、(3)式は以下の式となります。

\begin{eqnarray}
dv_{IN(ESR)}= ESR×k\frac{ I_{OUT}}{1-D}\tag{5}
\end{eqnarray}